マンション修繕、12年→18年ごとに 野村不動産など 積立金不足で (2018年8月2日デジタル版)
不動産や建設大手が保守費用を抑えられる新築マンションの販売や、修繕工事の受注を広げる。野村不動産は12年程度が多い修繕工事の周期を、新築物件で最長18年に延ばせるようにする。管理組合の積立金不足が問題となる中、最新技術を使って物件の寿命を延ばし、保守を含めた住居費を抑えられるようにすることで、新築物件の販売増につなげたい考えだ。

大規模修繕工事は外壁の塗装や屋上防水、配管の交換などをする工事で、実施周期はマンションの区分所有者で作る管理組合や管理会社が決める。実際は分譲時に不動産会社が示した案を変えないままのケースが多く、現在、多くの物件が約12年ごとに行っている。
野村不動産は分譲マンションの主力ブランド「プラウド」で、修繕工事の周期を16~18年に延ばせる仕様の新築物件を横浜市と千葉県市川市に建設する。外壁タイルを強度が高い接着剤で貼り付け、寿命の長い塗装剤や排水管も採用する。
新築工事費は従来物件より2%ほど割高になる。だが長期的にみれば、修繕工事の回数を減らせるため、割安になる。修繕工事は1戸あたりの負担額が100万円を超えることも多く、1回減るだけでも効果は大きい。

修繕工事の費用は長期修繕計画に基づき、資金を所有者らが毎月積み立てて準備する。ただ積立金が足りなくなる物件が少なくない。工事費が高騰する中、毎月の支払額が新築時の安い設定のままになっていたり、積立金を補う駐車場使用料が車離れで減ったりしているためだ。
不動産助言会社さくら事務所(東京・渋谷)の土屋輝之執行役員は「施工会社が工事を差配する管理会社などに気を使い、修繕周期の長期化を積極提案できなかった」と指摘。野村不動産は中長期で維持管理費を抑えることができるイメージを広げ、新築物件の販売増につなげる狙いだ。
国土交通省によると、既存の分譲マンションは全国で640万戸を超える。築40年を超える物件も約1割を占めるなど老朽化が進み、修繕需要は高まる。工事費の高騰や修繕積立金の不足も無視できない問題になってきた。不動産大手などは、より顧客目線でのサービスを提案し始めた。
長谷工コーポレーション傘下の長谷工リフォーム(東京・港)も、修繕工事のコスト圧縮を進める。超高層マンションの修繕で使う足場の自社保有を増やし、割高なリース料を抑える。グループで3基を保有、年内にさらに3基を確保する。

屋上防水では耐久性が高く、新築並みの性能を容易に確保できる素材や工法を採用。条件を満たせば保証期間を従来の15年から20年に延ばし、大規模修繕工事の周期の延長につなげる考えだ。
大和ハウス工業子会社の大和ライフネクスト(東京・港)は1戸あたりの負担が重くなりがちな小型物件で、近隣の数件の工事を同時に進める取り組みを広げる。資機材をまとめて運び、人も融通することで、工事費を最大1割削減する。
大京グループの大京穴吹建設(東京・渋谷)も2018年度から、工事に着手した全物件で作業記録や写真などを電子化して管理し、事務作業を減らすシステムを活用し始めた。工事現場は塗装や壁補修など10社以上の専門業者が出入りすることが珍しくなく、効率化してコストを削減する。
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